第15章

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虎太朗君が手伝ってくれたお陰で作業は捗り、綺麗に整えられた客席。 「疲れてるのにありがとう。助かったわ。」 「平気ですよ。また何か手伝うことがあれば呼んで下さい。」 ……私は、どうしたのだろう。 「…………さっきの話、ね。役者に未練がない訳じゃないの。」 「……。」 「でも、『スピーク・イージー』に居る限り、私は舞台には立てないのよ。 ここに必要なのは、役者としての野村あずさではないから。」 楽屋に戻ろうとする虎太朗君を呼び止めてまで、何を伝えようというのだろう。 明らかに戸惑っている虎太朗君。 .
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