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「……それ、どういう意―――。」
「虎太朗君、お芝居楽しい?」
彼の言葉を遮る。
「……単純に楽しいとは言えません。楽しいけど、苦しいです。」
「はは、言えてる……。じゃあ、夜公演も頑張って。」
自分勝手な告白を、自分勝手に打ち切って。
私はまた、誰も居ないロビーに戻る。
こんなこと、虎太朗君に言ったって仕方ないのに。
彼は何も知らないのだから。
私は、長椅子に腰掛けると、自分を守るように身体を抱き締めてうずくまった。
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