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自分の気持ちを誤魔化すように、苦笑混じりに何度も頷く。
「楽しんでるよ。」
美夜は、納得いかない様子で眉を八の字にする。
「私には、あずさが義務感でここに居るとしか思えないのよ。」
……良いところ、突いてくるな。
「それは、美夜の勘違いだよ。」
「……余計なお世話だよね。ごめんね、あずさ。」
「心配してくれて、ありがとう。」
気に掛けてくれた美夜に礼を言うと、彼女は無理に笑顔を作って去っていった。
最初は。
舞台に立てなかったとしても、裏で皆を支えることに遣り甲斐を感じていた。
だけど、願望とも呼べる切なる思いは、現実とのズレに軋み始めて。
見上げた空は、穏やかさを取り戻して、雲間から微かに星が瞬いていた。
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