第16章

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いよいよ最終日だ。 眠い目を擦り、トーストを濃い目に淹れたコーヒーで流し込む。 ちょっと胃が重いかも。 日曜のゆったりした空気の中で、母は鼻歌を歌いながら、目玉焼きを焼いている。 「今日ね、昼の回に観に行くから。」 「へっ?!……本当に来るの?」 「前から言ってたでしょ。」 「あのさ、何度も言うようだけど、私は出てないよ。」 フライパンの蓋が上げられると、籠っていた蒸気がモワッと拡散する。 母は目玉焼きを皿に取り分けると、私の前に置いた。 .
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