第1章

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仕事帰り。 5月の青々と繁った街路樹の中を駅に向かう。 雲一つない夕焼け空を見上げると、真っ直ぐ帰るのが勿体無く思えて、何の予定がなくともこのまま何処かに出掛けてしまおうかと、誘惑に負けそうになる。 ……いやいや、先週のお休みは、つい自分へのご褒美、なんて買い物し過ぎた。 今週は節約すると心に決めたばかり。 「っ!」 震え出した携帯を慌てて鞄から取り出し、表示された名前を確認する。 「もしもし?」 『おぅ、久しぶり。今、大丈夫か?』 「はい、大丈夫ですよ。」 .
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