第1章

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「こっちはバタついてて早速本題で申し訳ない。」 先輩である涌井海里(わくいかいり)さんからの電話は、大抵が呑みの誘いだ。 明らかにいつもとは違う切り出し方。 「あずさ、小山(こやま)のこと覚えてるか?」 私、野村あずさ(のむらあずさ)は、唐突な振りに付いていけず、眉をひそめる。 小山君は同じ大学に通っていた2つ後輩。 学部は違ったけど、私も彼も『アナザーフェイス』という学生劇団に所属していた。 私が大学に通っていたのは既に一年前の話。 卒業してから彼との接点はない。 ちなみに涌井さんも同じ劇団に居た先輩で、私の3つ上にあたる。 .
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