13人が本棚に入れています
本棚に追加
『第一話.灰被りと謎』
[サンドリヨン]
長赤髪、裸にオーバーオールの殺し屋を生業とする美女。
[ツェトラ]
銀髪ボブカットの人間の子供。
性別も、年齢も全て謎。
*
「全く……いつ見てもすごい施設だなおい」
サンドリヨンは言った。
およそ、大型のショッピングモール程の広大な地下室が彼女の眼前に広がる。
しかし、彼女は特段室内が広い事を指摘しているのではない。
わけのわからないグラフを表示したディスプレイが、何と呼称したら良いか分からない電子機器が、そこら中を走り回る色とりどりのケーブルが、広大な部屋を埋め尽くす様に窮屈に圧迫しているからだ。
「エルシア帝国の真下にこんなもんがあるなんて知ったら誰でもぶったまげるだろうねぇ。こんな違法に違法を重ねた趣味の悪い研究所」
サンドリヨンは一人ぼやいた。
それに呼応したように、ツェトラがサンドリヨンの真横に現れた。
音も無く、どこからともなくぬるりと影の如く。
「目的と、手段を、鑑みれば、まだ、足りないさ。この、設備でもな」
ツェトラはそう言った。
サンドリヨンは眉をひそめたが、ツェトラの急な出現に驚く素振りは見せなかった。
最初のコメントを投稿しよう!