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「…………」
「おい…?」
な、何だよ…?
首を傾げて相手を伺い見れば、気のせいかジトッと恨めがしい目付きに思わずたじろぐ。
「芳野?…おま、って…え…?」
まるでそれに気分を害したように、有賀の腕に触れた芳野の長い指。
「あ…」
熱い。芳野の指が、有賀の薄い肉にくい込むだけで、痺れたように電流を、有賀は確かに感じた。
「…少し」
見つめ会う眼差し。まるで止まめられた時間の中に流れるのは不思議な心地好さ。
「甘えさせろよ」
「芳野…」
近付いた熱に抱き締められた事を有賀は知った。甘えさせろと言うわりには、広い胸に押し付けられた有賀の頭を撫でる芳野の指こそ、有賀を甘やかすように優しいものだった。
◇◇◇
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