80人が本棚に入れています
本棚に追加
一週間前に二人は恋人になった。なった、はずだ。
だけど、その一週間の間はお互いの仕事の多忙さで会うのはもちろん、連絡だってろくにしていない。その間が有賀はいけなかったと思う。
一週間前は浮足立っていた。だが今はどうだ?一週間と言うひとりになる期間を置いた事でその浮足立った気持ちのままでいられなくなったじゃないか。
簡単に言うと。
恥ずかしいのだ。どんな顔して親友だった男を恋人として接すればいい?嬉しそうか?会いたかったとでも言って抱き着けばいいのか?
「………無理だ」
そんなの自分のキャラじゃない。想像しただけでも、そんな自分に姿の悍気が走る。
そんな事から、鏡の前で自分の顔と睨み合っているうちに。
「………う…」
鳴ったその音に、とうとうその時が来た事に気付いた。
ああ…逃げたい
鏡には相変わらず。一週間の激務で疲れた顔がある。
「…みっともねー顔」
どんな顔だろうが、どんな格好だろうが気にせずに会えたのに。
「…………」
今は会うのを躊躇う理由のひとつになるのが憂鬱だった。
.
最初のコメントを投稿しよう!