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月明かりが彼女の蒼白い頬を照らす。 目を閉じて、眠りについてるような彼女の表情。 揺り動かせば起きるんではないかと言う錯覚でさえ起こしそうになる。 だが、しかし、彼女はもう目を覚まさない。 「……もも……」 一言、呟き、頬に触れる。 プニッとした感触。 白くすべすべとしたこの肌。 全て僕のものだ。 僕は彼女を抱きしめ。 その骸に身体を重ねる。 湿ることのないその身体は僕の心を急激に冷やしていく。 「もも……もも……」 取り憑かれたように僕はももこの身体を貪る。 証が欲しかった。 それが獣じみたこの行為。 だが。 彼女の身体は止まったまま。 ピクリとも動かなかった。 「僕は君を許さないよ、何があっても許さないよ」 骸に語り掛ける僕は滑稽か? どこか三文芝居じみた雰囲気を感じながら、彼女の骸を抱き起こす。 だらんとした生気のないその身体。 僕は、目を閉じて眠りを貪ってるような表情をしている彼女の肩を揺さぶりながら壊れたラジカセのように言い続ける。 「僕は君を許さないよ、何があっても許さないよ。君が死んだとしても、絶対に、絶対に」 柔らかい肩。まだ、死後硬直は始まってないのだろう。 自分の手で首を絞めたはずなのに。 どうして、こんなに心がユラグノ? 彼女の身体をまた抱きしめ、目を閉じる。 浮かんだのは、走馬灯のような断片的な記憶。 思い出は残酷すぎるくらいに美しく、鮮明に残っている。 そして、僕の心にある小さな映写機は静かにその思い出を流し始めた。
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