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時は明治。
文明開化の幕開けにより、人々が活気溢れる時代。
突然家を出たきり行方不明となった兄を探しに、街に出ることを決めた主人公。廃刀令などに反発し、暴れまわる男たちも多いことから男装をして家を出た。
夜中――街に入り数刻が経過したが、やはりすぐには父は見つからない。主人公は宿を探すことにした。しかし、突如旧幕府派の男に捕らえられる。刀をもつその男に刃をあてられ、なかなか身動きがとれない。
そこに風が吹いた。
刹那――長い黒髪が宙を舞う。
曇天の狭間から差し込む月明かりが、それを美しく見せた。
『 大丈夫か、あんた―― 』
微かに微笑む男の手元には、既に先程の侍がいた。
『 とりあえず、一旦俺と来てくれや 』
――それが全てのはじまりだった。
これは曇天下、
激動の時代を生きた男たちと、ひとりの少女の物語。
『 逢えたことを夢に現(うつつ)に 』
『 そんな愚弄は笑ってやろう 』
『 今後は君の隣で 』
『 曇天下で笑おうか 』
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