1.冒頭

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さて、ここまで読んで、ふむふむとなった方。 とても催眠にかかり易い方です。 催眠は他人にかけるものではなく、自らかかるものです。 他人にかけるときも同様に、他人があなたの暗示を聞いて、自らかかるものです。 そこを間違えてはいけません。 催眠術とはなんなのか。 何でも自分の思い通りにするためのものなのでしょうか。 何でも自分を思い通りにするためのものなのでしょうか。 そもそも「思い通り」とはなんなのか。 自分の都合の良いように事が進むことなのか。 自分が都合の良いように事を進めることなのか。 いやいや、都合の良いように事が進まないことまで見越して「ほらみろ、やっぱりうまくいかなかった」と思うとこまでが思い通りでしょうか。 ここまで読んで、いやなるほど全くと思った方。 あなたならば、古典的な方法でも催眠術にかかってしまうかもしれませんね。 他人の言葉を素直に受けとることは、非常に良いことです。 他人の言葉の裏を読んで、その真意を受けとることは、とても良いことです。 他人に見えないものが自分に見えるのか。 自分に見えないものが他人に見えるのか。 自分に見えないものは存在しているのか。 他人に見えないものは存在してないのか。 誰にも見えないものは、存在して良いのでしょうか。 あなたは見たことがないものを信用できますか。 それがどれだけあなたの周りに存在しているのか、考えたことがありますか。 見えない空気が存在し、確かにあなたの肺を満たし、確実にあなたの体を動かしています。 果たして本当でしょうか。 実は見えているものが見えていないだけで、もっと不確実な方法であなたの体を動かしているのではないですか。 まあ、そんなことは普通に生きていれば誰にも分からないことですから。 分からないことだとしても、現にあなたは普通に生きていけていましたから。 まさしく、それは杞憂なのでしょう。 ……さて、前置きが長くなりました。 次から始まるこのお話は、まさしく杞憂めいたお話です。 あなたはあなたの信じたお話を、ただひたすら信じてください。 このお話は、そういった類いのお話です。 このお話は、所詮はフィクションなのですから。フィクションとして扱う方が、良いお話なのですから。
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