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プロローグ
2050年、天から地球全土にかけて雨が降った。しかしその雨は雨と呼ぶには違和感かあった。その雨は紫色で、そんなものが天から降ってくる様はまさに不気味の一言であった。
その雨は川や海に流れ込み、世界中の水を紫色に染め上げた。科学者によると色は紫色でも成分的に見ると、普通の水と変わらないらしい。とは言っても、紫色の水なんてものを飲みたがる人はおらず、数日が経過した。
その水を濾過する手段は存在せず、人々の乾きは限界となり、人々は紫色の水を飲み始めた。当初、科学者が分析したとおり、味は普通の水と変わらず、飲んで数日が経っても何も起きなかった。人々は水の色が変わった事実に最初は戸惑いつつも、だんだんとそれを受け入れていった。
2053年、あれから紫色の雨は降らなかったが、地球の水は相変わらず禍々しい紫色のままであった。しかし、人というのは環境の変化には慣れるもので、水が紫色である事に違和感を思う人はほとんどいなくなっていた。
だが、人々のそのような気持ちを再び呼び覚ます事が起こった。
この頃に産まれてくる赤子達の血の色が紫色になっていたのだった。
紫色の雨は、降った当時に生きていた人には何ともなかったのだが、確実に次の世代の人類を蝕んでいたのだった。いや、人類だけはない。昆虫、魚、動物。あらゆる全ての生物が蝕まれていった。
2063年、人類は血の色の変化には慣れる事が出来なかった。親の血が赤で、子の血が紫。どうしてもこの違和感を拭う事が出来なかった。
そして、更に混乱を巻き起こす事が起こる。2053年に産まれた子供達が、この世界ではあり得ない力、超能力とでも言うべき力を扱える事が発見されたのだ。
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