一章

3/14
前へ
/14ページ
次へ
空はあいにくの、曇り空だったが、俺の心の中は晴天といっても違いがない程上機嫌だった。 「今日から俺も冒険家の仲間入りか、なんか感慨深いものがあるな。 」 などと、つぶやきながら足軽にギルドへと向かっている。 ギルドと大それた名前だが、要するに何でも屋だ。 小さなクエストは無くした物を探して欲しいといった事から大きなクエストとなれば国をあげてのモンスター討伐というように様々なクエストが舞い込んでくる場所である。 俺の住んでいる村には小さなギルドが一つきり。要請されるクエストもそれに見合った物ばかりだが、時々モンスターの討伐クエストなんかも入ってくる。そんなものだ。 俺の親父も冒険家をしていた。そう『していた』んだ。 親父はモンスターの討伐クエストに行ったっきりそのまま帰らぬ人となった。 帰ってきたのは左腕だけ、あとはモンスターに食われちまったらしい。 母親は俺を産んだときに死んじまっていない。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加