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アンナがチラッと振り返るといまだに心配そうな顔をしたヒューゴがこちらを見ていた。
「完全にあれは無意識だったのね。ヒューゴったらもっと好きになっちゃうじゃない・・・・・・ブツブツ」
後ろを向いたままのアンナ姉さんはしばらく何かつぶやいた後まだ赤さが残る顔をこちらに向きなおすと後ろにあるボードからいくつか紙を千切り持ってきた。
「今のヒューゴにちょうど良さそうなクエストはこれくらいかしら。」
とカウンターに並べられた用紙に目を落とす。
内容は大体が遺失物の捜索や薬となる植物の採集のクエストとなっていた。
「それじゃあ、これにしようかな。場所も行き慣れた所だし。」
そういって取ったクエストの内容は備蓄が少なくなった薬草を取ってきて欲しいというものだ。
「そうね、まずはそれで感覚でも掴んできてらっしゃい。この時期はあまり目的の薬草が見つからないから根気よく探してね。あ、モンスターもでるから気をつけなさい?」
「もう、アンナ姉さんは心配性だなぁ、俺にはこれがあるって。」
と、腰に差してある剣をポンと叩く。これは量産品だが、俺にとっては初めて自分の金で買った相棒のようなものだ。
「そんな調子の良いことばかり言って・・・・・・あなたが怪我をして心配するのは私なんだからね?」
「分かってるって、それじゃあ行ってきます!」
意気揚々と出入り口に向かうヒューゴの背中にアンナは若き日のヒューゴの父親の背中が重なった。
「ヒューゴ、必ず帰って来て・・・・・・」
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