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ギルドを出た俺は目的の場所へ向かった。
目的の薬草は村からそう遠くない森の中に群生しているのを見ているので迷うよな馬鹿はしない。
「さて、とりあえず森の入り口に着いたけど、なんか変だな。」
いつもと違う森の雰囲気に違和感を覚えながらも奥へと踏み入れる。
鬱蒼と茂る木や草を掻き分けそろそろ薬草の群生地に到着しそうになった時にやっと違和感の正体に気がつく。
「静かすぎる・・・・・・」
いつもは鳥の鳴き声や小動物の姿がいるはずなのに森に入ってからは一度も見ていない。
「な、なんだ?何が起きているんだ?」
森の異常なまでの変化に俺はビクつきながら進み、木々の切れ間から日の光が差し込んでいる所に着いた時この森の異常の原因を知る。
「なっ!?あれはヌシじゃねぇか!?」
小さな広場には森の主が凄惨な姿で横たわっていた。
俺はヌシに走り寄り容態を伺う。
この森の主はいわゆるエルフと呼ばれる種族の女性が森を治めている。他の森の主とは違い人とは敵対しておらず、村人と共に過ごしていた温和な奴だった。
「おい!ヌシどうした!?」
まだ息をしているが処置を施さなければ死んでしまうのは俺のような素人でも分かる位ヌシは弱っている。
俺は持っていた救急用具を腰から下ろし地面に広げた。
「待ってろ、俺じゃあ気休め程度にしかならないが、すぐに村に連れて行くからそれまで頑張れ!」
出来る限りの処置をして主を背中に担ぐ。
俺はこの時後悔をする。
なぜエルフともあろう者が重傷を負っている?何故それに気がつかなかった?
ヒューゴの周りには森では見たことのないウルフ型のモンスターが取り囲んでいた。
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