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梓に連れられて一階の大きな部屋、桃山荘の住人全員の部屋で所謂リビングみたいな所に来た
テーブルとテレビ、台所には冷蔵庫や電子レンジなど、揃う物は揃っている。
「翔ちゃん、ここ座ってて。今お茶出すから」
テーブルとセットになっている椅子に招待された。
「……あ、ありがと。いただくよ」
梓はとても面倒見のいい子だと、椅子に座りながら思った
梓がお茶を持ってきてくれて、その梓も俺の右横側に座った。
「あのね翔ちゃん。今、私しかいないんだよ」
お茶を飲みながら梓の話を聞く
「でも、他にも住人いるんだろ?」
「うん、後三人いるよ。今はアルバイト行ったり遊びに行って居ないけどね」
そうなんだ。で、この桃山荘を空にしないために梓が残ってるんだろうな。でもこうやって梓と二人っきりで話すのって何年ぶりかなぁ…
「そろそろみんな帰ってくるのか?」
「…うーん。わからないかも…」
梓が首を傾げて答える。その一つ一つの動作が可愛くなった。子供の頃は只の幼なじみで友達だっただけなのに、今じゃ下手をすれば恋愛感情になりかねない程大人っぽくなっていた。
「……わからないなら仕方ないな。じゃあさ、俺の部屋になる所案内してくれないか?」
「うん、わかった。こっちだよ」
テーブルに飲み干したコップを置いて立ち上がり、廊下へ繋がるドアの所まで早歩きで行った
「相変わらず、元気だな。梓は…」
そして、また梓に連れられて来たのは同じく一階の廊下の一番奥の右にある部屋だった。
「ここだよ。大家さんの部屋は…毎日掃除してるから綺麗なはずだけど…何かあったら私にでも言ってね、翔ちゃん」
「…ありがとう、梓。…これから梓はどうするんだ?」
「晩御飯の準備だよ?」
「晩御飯ってまだ昼過ぎだぜ?」
携帯の時計を見て言う。まだ昼の3時前だ。
「甘いっ!翔ちゃんは甘いよっ!だから彼女とかできないんだよ」
「一言多いぞ。……」
「今日はカレーライスだから、この時間あたりからルゥをコトコト煮込んで、とっても美味しいカレーライスを作るんだよ!」
確かに言ってる事は分かる。ほんと一言多いが……
「なるほどね。じゃあとっても美味しいカレーライス楽しみにしてるよ。俺は部屋の整頓しておくよ」
「任せておいて!翔ちゃんに私の凄いところ見せてあげる!」
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