働きたくない

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「朝比奈さん、俺には剣と盾くれないんですか?」 「あっ、俺も弓しか貰ってないッス」 やっと全員に配り終わったと思ったら、速攻で文句言ってきた草薙と諏佐。 お前達、手伝いもしないで文句言うのが早いな、おい。 「草薙と諏佐には特別な装備が有るから、届くまで待ってろ。 それまで諏佐は……これでも振ってろ」 俺は、このメンバーの中で諏佐だけが扱える品を投げ渡した。 竹刀だ。 日本で一般的に見る竹刀よりも古い竹刀。 袋竹刀と言う品だ。 「剣道が必ずしもそのまま役立つとは限んないけど、感覚戻しとけ。 草薙は…………お前、指抜きのファイティンググローブ持ってたよな?」 「はい、荷物の中に予備も入れて三つ入ってます」 何で入ってんの? マニアの趣味は追求しない方がいいけど、気になるよ。 いや、やっぱり聞かないでおこう。 理由を聞いて、熱々と語られたらウザいし。 「それ使って諏佐に稽古着けてもらえ。 お前は剣の間合い覚える必要が有る」 近接戦ツートップの技を弓のために捨てる気は無い。 お二人には頑張っていただこう。 俺は取り敢えず……飯だな。 「俺夕飯まだだし、今から軽く作って食うから。 あとは四宮さんが取り仕切ってくれるだろ」 腹減った腹減った。 屋敷出た後に芋食ったけど、三時のおやつだから別腹別腹。 食材も買ってきたし、今から何作ろうかな? 米買っちゃったし、お手軽な品と言ったらチャーハンか。 でも、スパイスが意外と安かったからな~~。 「朝比奈さん、料理出来るんですか?」 何を驚く菊地君? 俺が料理出来るのがそんなに不思議か? 「菊地君、仕事で疲れて帰って来る結衣のために家事の一切をやってるのは誰だと思ってるんだ?」 「…………よ、妖精さんかと」 おいおい、随分ファンシーな物が出てきたな。 君の中では、俺が家事をする確率は妖精さんが家事をする確率より低いってか。 覚えとくよ。
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