働きたくない

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「スパイスの調合は神田君に任せるとして、ルーのベースは桜井さん。 米は河本さんに頼むとして…………俺は野菜の下拵えとしますか。 じゃあ、お料理開始!」 おおっ、分担するとそんな物か。 元々全員分の夕飯なんか作る気も無かったから材料もそんな無いし、作業自体は複雑ではない。 しかも、三人の手際がいい。 うんうん、意外と早く食えそうだ。 「お前達の就活はどうだったんだ?」 「土木現場でこきつかわれました」 「酒場の面接でセクハラされたから、逃げてきました」 「私もいきなりお尻触られました…………」 うわぁ、予想通り。 女子の働き口なんてそんな多くないだろうし、有っても何かしら労働条件や労働環境がキツかったりするだろうと思ってた。 二人には、ちょっと嫌な事思い出させちまったな~~。 神田は別にどうでもいいよ。 「聞いて悪かったな。 二人はもう仕事探さずにメンバーの飯炊き係に回ってもいいぞ? 良いところで働けるメンバーの稼ぎを合わせれば、でかい損失にはならないだろうし」 別に外で働かないからって悪い事はない。 外で働く奴の為に中で働く。 十分立派じゃないか。 でも、しばらくは奥様からの借金で遣り繰りしなきゃいけないだろう。 また家計簿つけようかな…………あっ、俺は地球で主夫目指せば良かったのか!? 「二人って……………俺はどうなるんですか?」 「君は筋トレ兼ねて土木作業に従事した方がいいだろ。 どうせ、草薙君辺りもいるんだろ?」 「草薙は、サイに似たでかい動物に引かせてた荷車の少し小さいやつを一人で引いてました」 あれ、おかしいな~~? うちのメンバーって確か人間しかいなかった筈なんだけど。
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