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「じゃあ、これが支度金だ。
全部じゃないから、足りなければ地図にある日本人協会本部まで来てくれ」
そう言って、イノウエさんは俺に皮の小袋を手渡してきた。
小袋の中を見ると、懐中電灯の明かりで光る銀貨がジャラジャラしていた。
う~~ん、つくづくファンタジー世界のイメージ通り。
「それじゃあ…………あっ、一応仕事の斡旋もやってるから」
それを最後にイノウエさんは立ち去ってしまう。
えっ、これで終わり?
何かもうちょっと有っても良くない?
メンバー内に急に冷え込んだ空気が流れ出す。
「ボケとか要りませんよ。
みんな、取り敢えず入ろう」
またしょうもない事をしない様に釘を刺された。
チッ、もう四宮がいる所ではバカをやってみんなの緊張をほぐし、同時に白けさせるのは難しいか。
となると、みんなの俺への評価を下げる機会が減りそうだな。
いや、これからを考えると寧ろそっちの方が良いのか?
まぁ、そこはおいおい考えるとして、今はおいてけぼりにされない様にしないと。
「おいてかないでくれよ~~」
伸びたい放題の前庭を走ってメンバーに追い付く俺。
森では隠してたけど、実は虫苦手だから本気ダッシュした。
そしたらまた一等賞になった。
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