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幽霊屋敷の中はオンボロ屋敷。
玄関の扉を開けただけで埃が舞い、後ろから入って来た四宮が軽くむせる。
俺はと言えば、盛大なクシャミで更に埃を舞い上がらせた。
仕方無いのだ。
去年から放置された屋敷は至るところに埃が積もっており、皆一様にむせたりクシャミをしていたりしている。
タバコに火を点けたら埃で粉塵爆発起きる気さえした。
「こりゃ、明日は職探しの前に掃除だな」
仕事の前に生活環境をどうにかしなくては。
しかし、外見に違わず広そうだし大変だ。
入ってすぐの広間、いまは全員ここにいるわけだが、どうやら酒場を兼ねていたらしい。
埃まみれのバーカウンターがその名残だ。
「キッチンも有るぞ」
「こっちは倉庫みたいだ」
「こっから裏庭に出れるぞ」
未成年の男子は早速探検気分。
元気だね~~。
成人男子と女子はもう落ち着いてしまっている。
可愛いげが無いね~~。
「じゃあ……四宮さん、俺寝るから。
財布…………あっ、鍵も中に入ってた」
俺はイノウエさんから貰った財布を四宮に渡した。
ここのであろう鍵も財布の中に有った。
管理の雑さも気になるけど、もう疲れてるからどうでもいい。
面倒臭い。
「ご飯とかお風呂はいいんですか?」
「飯は外で食うか買ってくるかでしょ?
朝飯多目に買って来といて。
あと、風呂屋は明日掃除してからで。
どうせ掃除したら汚れるし。
支度金に限りが有る以上、質素倹約が大事」
もう限界。
草薙に持たせっぱなしだった荷物を返してもらい、着る毛布を出して、俺は広間の床の埃を軽く払って寝転がる。
おっと、枕も出して懐中電灯も消さないと。
「埃アレルギーの奴もいるから、そう言う人達は軽く掃除した個室で寝かせてやってね。
お休み~~」
四宮が何か言いたそうだったけど、俺はもう目を閉じた。
やれやれ、マジで異世界で生活しなきゃならないのか。
あぁ、頭痛くなってきた。
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