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「邪薙ぎ!」
インセインを召喚し、牽制する。
扉付近が丸ごと吹き飛び、土埃で辺りの視界が潰れる。
【---行かせないよ】
「くっ・・・!!」
化け物は、難なく邪薙ぎを止めていた。今、一体何をした?やつの周りだけが無傷だ。
【---僕に異能は効かな】
「死ねぇ!!!!」
やつの後ろから一閃。この声は!
「クラウ!」
身体中に火の粉を纏った紅龍、クラウだった。
「プルートが紀を呼んでいる、それまで逃げるぞ!」
その意見に首肯し、弾けるように外へ翔ぶ。
【---痛いなぁ。幻想殺しでも消えないってことは、それは偽物だね】
右手に光の粒子を集めて剣の切っ先のような形を作った化け物は、一足で此方へと跳躍してきた。
【---さぁ大人しく、死ね】
クラウに腕を伸ばしたが、クラウは剣の腹で受け流した。
だが、相当のダメージがあったようで、苦悶の表情を浮かべている。
【---やはりゲイザーではダメか。約束された勝利の剣】
きらびやかな装飾の、何処か神聖な剣を瞬時に作りだし、無造作に此方に振るった。
「避けろッ!!」
光の大砲のようなそれが私を襲った。クラウが私を押したが、その右肩が切り裂かれた。
「ぐ、ぁ・・・」
「クラウ!」
「く、逃げるぞ・・・!」
右肩を抑え、剣を捨てて私を叱責するクラウ。
このままだとクラウが死んでしまう。
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