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一方、健太と沙希は居酒屋で二杯目にとりかかっていた。
あまり、気がすすまないまま、健太についてきた沙希だが、元々が酒は好きな質だし、飲んでいるうちにだんだん機嫌も良くなってきていた。
健太はいたってご機嫌で、
テーブルに肘をついて、やや前のめりになって、ハイペースで飲んでいる。
沙希は軽く椅子に腰をかけ、足を組み、機嫌よく飲みながらも健太を観察していた。
「沙希さんて、見た目よりぜんぜん話やすいっすよね。」
「そう?
取っ付きにくいように見えるかな? まぁ 見た目と中身の
ギャップがあるって、たまに言われるけどね。」
健太は酎ハイを大きく、がぶっ と飲んでドン、とテーブルに戻す。
「いやっ~
取っ付きにくいっつうか、スゲー仕事も出来る大人の女に見えるっつうか、正直言えば、朋美の写メ見て、連れて来いって何度も言ってたんすけど、
マジ来たら、俺、何話す?
俺と合う話あんのかよ?
って思ってたんすよ。」
ふぅん…と軽く何度かうなづきながら、沙希は言う。
「そういうのを、取っつきにくいって言うんじゃないの?」
いたづらに片目をつぶり、少し横を向きながら、指でピストルの真似をして、健太に向ける。
「いやぁ~
そうっすね… 」
クスクスと笑う沙希を見ながら、
ぽりぽりと頭をかく。
お酒が
回ってきたのか、健太の顔は
うっすら赤くなっている。
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