きっかけ

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「おかえり~」 明るく迎える朋美の声。 「お邪魔してま~す。」 「ああ、どうも、」 ぺこっと頭を下げて、健太が部屋に入ってきた。 「お疲れ様~ 先に着替えてくれば? ご飯一緒に食べようよ。」 「ああ、」 健太が別の部屋に消えると、朋美がキッチンに立って料理を準備し始める。 サラダや唐揚げ、ベーコンのアスパラ巻き等が食卓に並び、沙希が 楽しそうに会話を盛り上げる。 「ええっ? 健太君って 最初声かけられら時って、ぜんぜん乗り気じゃなかったの?」 「そうなんすよ。ぜってー からかわれてるとしか、思ってなかったっすよ。」 最初、ぎこちなく敬語でしゃべっていた健太だが、沙希の気さくな 会話に、だんだん緊張もほぐれて きたようだ。 「でも、入院中なんてヒマじゃないですか? 足ギプスされて動かないし、そんで、じゃあ、夜連れ出してよって頼んだら、マジで、車で迎えに来てくれたんっすよ。 それから、時々抜け出して遊んで、まぁ、退院してからも、友達とつるむ時には、俺から誘ったりって感じだったよな。」 「そうだね~ そんな感じだったね♪ 」 思わず手を口に当てて、 まじまじと朋美を見つめる。 「大丈夫だったの? 抜け出したりして…」 少々、呆気に取られてる沙希を横目に見ながら、平気な顔で、 「仲良しの子が当直の時しかやらないし、骨折だけだから、車椅子使えば問題ないよ。」
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