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大分走っただろうか
気づけば村からは随分と離れたように感じていた。
「ハァハァ…もう大丈夫…かな…」
見上げて村の方を見ていみると
猛火が村を包みこみ火炎地獄の様相を見せていた。
大きな翼と尻尾を持った空飛ぶ「悪魔」が絶対的な魔力と知性をもって
村は廃墟と化していく様相見せ付けられた。
昔話の中にこんな話があった。
かつて今よりも遥かに文明が進んでいたエイフォンという古の都があった。
多くの人々の雑踏。張り巡らされた交通網。
多くの高層建築物。
田舎の不便な所に住んでいた彼にとって羨望の的のような存在であった。
輝かしい都は悪魔たちが現れた事で終わりを告げた。
人々は遥かに大きな魔力を持つ悪魔たちに成すすべが無かった。
人間たちが長い時間に掛けて造り上げた摩天楼が一夜にして消え去った。
その話は少なからず彼に恐怖を与えた。
同じようなことがこの村で起こっている…
信じられなかった。自分の目であのような悲劇が!?
大きな憎しみ。怒り。同時に夢であって欲しいという願いが頭の中を過ぎった。
とはいっても目の前の光景が変わらないのを見て現実なのだと彼は認識するしかなかった。
させられた。
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