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あの昔話にこんな言葉があるのをを思い出した。
"七つの大いなる竜が人間に下した罰"だと
古の都を襲った悪魔…竜達の中に特に恐れられた竜がいた。
炎のように赤い鱗に六枚の翼。燃え盛るような自分の髪色にそっくりな鬣。
その竜は多いなる火の力を持ち、地上の至るところを焦土にしたと
彼も運が悪かったとしか言いようが無い。
その目でその赤き竜を見ることになってしまったのだから。
「ひっ!…あぐっ…」
彼が発そうとした声は意味の無い者と化していた。
弱者と強者。食われるものと食らう者。
両者の差はあまりにも大きすぎた。
彼は逃げ出そうという気も起きず、ただ腰を抜かし座り込んでいた。
頭の中は竜に食われる。そんな考えで埋め尽くされていた。
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