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べっとりと汗染みのついたシャツを脱ぎ、熱いシャワーを浴びて、石鹸で体をごしごし洗った。
酒臭さもほとんどなくなり、頭痛もひいてきたころ、もう一度鏡を覗くと、さっきよりはだいぶマシな姿になったいた。
濡れてボリュームのなくなった赤い髪、母親に似た緑の目、透けるような白い肌―
急に後ろでガタっと音がして、クラリーの注意が鏡の中の自分からそれる。
クラリーはゆっくり振り返り、何も変わらないバスルームを見て安堵のため息を漏らした。
そして前に向き直り、鏡に自分以外の人物が映っていることに気付くと、はっと息をのんだ。
「あなたは誰?」
おそるおそる聞いてみた。
普通の人ならここでパニックを起こすとこだろうが、クラリーはほとんど慣れていた。
クラリーには幽霊が見えるのだ。
でもさすがに幽霊という者は理解しがたく、いきなり姿を現すのには驚かされるものだ。
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