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「エミリーよ」
静かに答えた少女は、青白い肌に目の下のクマが目立っていた。
年は10歳くらいで、ダークブラウンのストレートの髪が、不自然なほどさらさらとしている。
「あなたはどうしてここへ来たの?」
クラリーも静かに優しく聞いた。
ゆっくりと後ろを振り向いたが、そこには誰もいない。
<変ね>
クラリーが前に向き直ると、少女はクラリーの真横に立っていた。
「お父さんと話がしたいけど、できないの。考えてたらいつの間にかここへ来てたわ」
エミリーは悲しそうに言った。
その表情は、誰もが助けてあげなくてはと思うような、とても寂しそうな顔に見える。
「じゃあ助けてあげるわ。でも少し待っててねエミリー」
クラリーは少女に笑顔を向けた。
エミリーはうんと言ってにっこりと微笑み、一瞬で消えた。
<準備しなくちゃ>
クラリーは濡れた髪を乾かし、ショートデニムと灰色のシャツに着替え、出かける準備を始めた。
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