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クラリーは父親の書斎へ行き、壁に飾ってある祖先たちの絵を眺めた。
迷ったときはいつもここへ来るのだ。
書斎はもう使われていないが、クラリーが週に一度掃除をしているので、ほとんど父親が使っていた頃のまま変わっていない。
<パパ、今日も上手くいくように祈っててね>
クラリーは父親の絵を見つめながら心の中で語りかけた。
クラリーの『幽霊が見える』という能力は、父親のジョナサンから受け継いだものだった。
その能力は遺伝性で、祖先から伝わってきたものである。
遠い祖先はこの能力を有効に活用しようと、『この世』に心残りのある死者「ソーリング」に、救いの手を差し伸べることにしたのだ。
その仕事をクレイヴと呼び、普通の人間には秘密にするように言われていた。
親しい人物には秘密を打ち明けるが、大勢の人に知られると、たくさん厄介なことがおこるんだよ、父はたしかそんなことを言っていたなと、クラリーは考えた。
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