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銃弾が飛んで来る、私はそれを瞬時に認識した。
やろうと思えば銃弾を避けることは簡単だ。
目を開けていなくても屹度出来る程簡単だろう。
けれど私はそれをしない。
何故なら、そんなことには殆ど意味なんてないからだ。
仮に銃弾を避けなかったなら、私はそのまま打ち抜かれるだろう。
しかしそれはあくまでただの結果なのだ。
私にはあまり重要なことに思えない。
理由は簡単だ。
”近い未来に起きようとしていることが現実的な切迫感を持てない程に私の生命は現実的なものではなかったのだ。”
そう、それが判っている私にはそもそも銃弾など飛んで来ることはない。
私は静かに霧消した。
そして銃弾が放たれると、誰かにとっての何かがそこから消え失せた。
「銃」
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