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「よくぞ聞いてくれました!
実はこの袋、それ1つで一個の魔術になっているんです!
前に師匠に頼み込んでいろいろと調べてみたんですけど、袋本体の編み方から金糸による刺繍に至るまで、その袋のあらゆる部分が儀式化されて一個の魔術陣を形成しているんです!
そして恐らくはこの袋はそのサイズが元のサイズでは無い筈です。
巨大な袋を作りその袋を組み込まれ魔術陣の効果で縮小させて中の空間のみをそのままにしているようです。これは縮小魔法陣の魔術陣版と思って頂いていいです。
しかも重量を軽減する術式まで組み込まれています!
僕も真似て作ろうとしたんですが如何せん使われている技術がもう神懸かっていてとても普通の職人技とは言え無いんですよ!」
しまった、これは本当に厄介だ………
とゆうかカイトお前は本職の魔法師なんだから目を回してないで少しは理解しようとしろ………
「リンク!使い方は分かった!だからそれぐらいにしてくれ!頭ん中こんがらがっちまう!」
「そうだな、つまりはその袋の中に本を詰めれば解決するんだろう?
それに此処から王都行くには三週間はかかる。
時間が掛かり過ぎれば渡されている路銀が足りなくなるかもしれん」
「それもそうですね………
もう少し話していたいんですけど……」
それを聞いた俺達の顔が引きつったのを誰が責められよう。
その後はひたすら本を袋の中に詰めて行く作業が続けられた。
だが、この袋は本当に凄いな、山のように有る本が次々と呑み込まれて行く。
それに重さも全くと言って良い程変わらん。
難点といえば中の物の感触がそのままで伝わって来て途轍もなく違和感があることか。
こうなって来ると件の師匠とやらが何故これを持っていたのか謎だが………
考えても仕方ないだろうな。
「リンク~、この工具箱とか机の上のもんはどうすんだ~」
「それは研究用や鍛冶に使ったりするので袋に入れずに僕が持ち歩きます!
もう直ぐ完成する物が有るので道中にでも作り終えてしまおうかと」
この回答に俺は呆れ顔、カイトはポカンとしている。
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