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「これはどう考えても馬車三台は必要だよな……」
カイトもどうやら同じことを考えていたようだな。
この森は中位の魔物が多いから馬は連れて来れないからな…………ん?
「リンク、この袋はなんだ?」
俺が見つけたのは白い布地に金糸で装飾が施されていて一級品であることが一目でわかる素晴らしい物だ。
「あっ!!師匠の不思議袋!」
「お前師匠なんかいたのかよ!?つか不思議袋ってネーミングセンス皆無だな!」
カイトの何でかんでも声に出して騒ぐ癖はなんとかならんものか……
この袋、竜と桜だから多分竜国のものだとは思うが、不思議な所は特に見当たらないぞ?
「それは半年前までこの家にいた師の所有物です!何で此処に有るんでしょう?」
「中に何か入っているようだが?」
袋を逆さにして振ってみると四つ折りになった羊皮紙が出てきた。
拾ったカイトが開けて確認した。
「おっ?え~何々?
ーーーーーーーーーー
この手紙読んでるってことは王国の学園に向けて旅立ちかいな?
リンク、いきなり消えてすまんかった。
実はな、お前も知ってるクラディア嬢に頼まれてお前の修行しとったんや。
んで、学園に召集かかる半年前に修行の成果が出てるようならお前の前から消えてくれっていわれてな?
言うても会えへんのはお前が学園入るまでや、それぐらいになったらまた会いに行ったるさかい。
そやそや、どうせ本の整理ついてへんのとちゃうか?
そのために袋置いてったんやからちゃんと使ってや!
ほなな我が弟子よ!
お前と一緒におった九年間最高に面白かったわ!
ーーーーーーーーーー
よ、読み辛ぇ………こいつ竜国の虎(とら)の出だ……」
「あははは………僕も慣れるのに時間が掛かりましたよ………
でもこれで本が持って行けます!」
「?
リンク、どう言うことか説明してくれないか?
この袋が有ると何で本が運べるんだ?」
リンクが言っていることが全く理解出来ん。
こんな小さな袋一つで何ができると言うんだ?
俺が疑問を口にするとリンクの眼が輝いた気がした。
………………要らぬ扉を開けてしまったみたいだな。
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