混ぜろ、危険

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「もたつかないで皆外に逃げて!  誰でもいいから他の先生にも報告してきて!!」 「か、火事だ!!」 「早く外に逃げないと…!煙吸わないで!」 大参事だった 次々と生徒が逃げ出す家庭科室は炎で覆われていて既に 消火器一つじゃどうもなる状態じゃない 何より最悪なのが如月様の姿が見えない事だ 「ちょっと君、何処に行くの!?  ま、待ちなさい!!君!!」 先生の言葉を無視して 速足で次々と人が居なくなり、燃えるスピードを増す火元に近寄る ボッ 火の粉が飛んでくる、気を抜いたら私も巻き込まれるのは逃れられない 幸い扉は開いていた バックドラフトの危険性は余り無いようで良かった 火が燃え移りそうな程、火元に身を寄せ見た 周りが燃えているというのに堂々とした人の姿 つまらなそうに伏せた目 炎に照らされて一際不思議な輝きを放った桜色の髪 燃え残った椅子に細く長い足を組み悠々と座る姿 なんて芸術的で美しい絵なのだろう 私は焦る事なんて忘れてその姿に見入っていた
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