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しかし道化師は全く気にしていないらしく、
「お嬢さん、ほら、本当のことを言ってみなさい」
道化師はニヤリと口角を引き上げる。
「その中には無いので。用がそれだけなら帰ります」
また失礼な態度をとってしまったことに心の中で悲鳴をあげていると、道化師はキョトンとしたようにジャグリングの手を止めた。
「あなた、まさか本当にこの中には無いって言うんですか?」
「そうだって言ってるじゃないですか」
私はこの場から逃げ出そうと、踵を返した。
「ちょっと待って!」
道化師の白塗りの手が、私の手首をしっかりと掴んだ。
「なんですか・・」
「この中に無いのなら、その願いを言ってくれませんかねぇ?」
「っ!!」
道化師は、この中に無いのなら言ってみろと言わんばかりに、挑発的な笑みを浮かべ、私の手を離した。
(言ったら絶対バカにされる・・・)
でも、本当に変わりたいのなら・・・・。
まずはここで変わらないといけないのかな・・・。
言わないといけない気がする。
「わ、私はっ・・」
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