185人が本棚に入れています
本棚に追加
「……どこか痛いとか苦しいとかないかい?」
リリィの耳に入るウサギの声は、これまで聞いてきたどの声よりも素直に受け取る事が出来た。
記憶はないけれど、今までどんな立派な声も言葉も「虚飾」に満ちた偽りにしかリリィには感じられなかった。
だが、せっかくの心に届いた質問には答えるには難しいくらい、リリィの心は歪んでいた。
「ねえ、私は生きているの?死んでいるの?」
「生きているよ、喜ばしいことにね」
ぬいぐるみはリリィの言葉にしっかりと答えてくれた。
"よろこばしい"が不思議とうれしいという意味だとわかっている。
けれどそれが、今度は少女の不思議となる。
「ねぇ、本当によろこばしいの?」
最初のコメントを投稿しよう!