はじまりは突然に

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「うそ?どこに?」 「親が転勤でアメリカ行っちゃって、 前のアパートからバス停3つくらいしか離れていないところなんだけど」 「アメリカって。お父さん、単身赴任?」 「ううん。お母さんも一緒に行っちゃった」 「え、じゃ、麻希一人暮らし?お祖父ちゃんとか確か遠方だったよね?」 うん。 コクンとうなずく。 「すごーい!いいなぁ!憧れるー!」 みのりは、さっきのしとやかな表情とは打って変わって、身を乗り出して、目も輝いてる。 「高源寺の辺りのアパートなんだけどね」 「高源寺かぁ。部屋広い? ね、これから遊びに行きたい!」 「うん。いいよいいよ。 まだ、段ボールだらけだけどね」 みのりはうんうん。と頷きながら聞いている。 「それがさぁ」 私はひと呼吸置いてから、一気に言った。 「引越した先がよっちゃんの部屋の隣だったの」
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