ご挨拶

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この話題の続きの『何か』って。 胸がドキっと音を立てたのを、気づかないフリをした。 「もう、それはないでしょ。 かえって近すぎて、憧れが引いてきた感じで……」 できるだけ、平然と言ったんだけど、 私だって、さっきからずっと思ってた。 ただ住んでいるところが近いってだけのこの関係に、妙に期待しちゃってる自分がいること。 「麻希も一緒に先生と恋愛しようよー! 麻希が一緒だったら心強いし。 今朝だって一緒に通学って、少しは脈ありなんじゃない?」 一緒に通学って、 そんな色っぽいことは、全然なかったんだけど。 鬼のように、途中で下ろされたし。 「脈とかそんなんじゃなかったよ。 よっちゃんの車に乗せてもらえたときは、 嬉しかったけど、 下ろされるときは鬼みたいだったし。 それに、先生と恋愛っていろいろ面倒そうで……」 言ってしまってから、『しまった』って思った。 ハっとみのりの顔を見ると、案の定、少しうつむいて、 「だよね……。 私だって、そう思ってたよ。 まさか自分がこんなことになると思ってなかったし。 こんなに好きになっちゃって、かなり戸惑ってる……」 「うん。そうだよねぇ……。 好きな気持ちは止められないし、 相手は、あのまっちゃんだし……」 さっきから、「あのまっちゃん」を連発してる気がするけど、 本当に校則厳守で、容赦のない先生だから。 「ま、今度お泊りの時は、麻希の家に泊まるって言うから、よろしくね」 と落ち込んだように見えても、さすがみのり。 この前向きな明るさにまっちゃんは救われたのかな。 夕方まで、ずっと恋バナで盛り上がって、 みのりは、6時過ぎには、家に帰って行った。
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