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ようやく先生の意図がわかった。
心臓をギュっと握られたような、
頭を金槌で打たれたような、
すごい衝撃だった。
立っていられるのが、不思議なくらい。
「広瀬は?彼氏いないの?」
先生は、そんな私の様子に気づくこともなく話し続ける。
私は首を横に振った。
「いいよ。わかった。
じゃあ、先生は、私がいろんな男と夜遊びして連れ込んでも、家に帰ってこなくなっても、タバコを吸ってお酒を飲んでても、
なんにも言わないのね」
頭で考えるよりも口が先にしゃべりだす。
「だから、限度があるけどさ……」
先生はハァっと大きくため息をついた。
「言わないから大丈夫。
先生が毎晩違う女の人を連れ込んでても、友達と朝まで、どんちゃん騒ぎをしてても、文句も言わないし、周りにも言いふらしたりしないから、安心してよ」
涙が出そうになるのを
堪えて強く握り締めた拳が震えている。
「そこまではしないよ」
困ったように先生は笑った。
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