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「先生が言いたかったのは、それだけ?」
ズシンと胸に重りが落ちたままで、
声を出すのが精一杯だった。
「ま、うん。
あ、今朝みたいなことは、今日が特別だからな。もう遅刻するなよ」
そう言いながら、先生はニっと笑った。
やっと先生が、しっかりこっちを見た気がしたけど、
もう私は、先生をしっかり見ることなんて、できない。
「はい……。
じゃ、また明日学校で」
無理に作った気持ち悪い笑顔で、私はゆっくり玄関のドアを閉めた。
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