新しい恋

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みのりは、早口で由美ちゃんに確認を取る。 「サッカー部の高田くんって言ったら、 1年からレギュラーで、今エース? 来年キャプテン候補、背番号10番のあの高田くん?」 「みのりよく知ってんね」 「あ、たぶん、そう。 あいつ、サッカーだけは巧いからね」 由美ちゃんは頷いた。 へー。そうなんだー。 人ごとのように思ってしまう。 興奮気味のみのりを尻目に、 私は妙に落ち着いてる。 「そんな注目の人だったら、もてるんじゃない?私じゃなくても……」 「まぁ、モテるのは確かなんだけどね。 なんか浮ついた噂が全然なくってさ。 初めて高田から女の子の名前聞いたってくらい」 と由美ちゃんも結構冷静に言う。 由美ちゃんは、高田くんが好きと言うことはなさそうだ。 「あ、でも、麻希好きな人いるんだよね?」 と横からみのりが言う。 『断ってー』ってみのりが視線を送ってる。 昨日のよっちゃんと恋愛してって話の事だよね。 先生と昨日あんなことがあったこのタイミングで、こんなありがたい話があるなんて、 沈んだ心が少し浮上できる気がする。 「ううん。今、好きな人いないし、いいよ」 みのりの視線を避けて、由美ちゃんに言った。 「そっか。よかったー。 で、さっそくなんだけど、 今日、サッカー部休みらしいんだよね。 良かったら、授業終わったら、高田がここに来るって言うからさ」 と由美ちゃんは早口で言う。 「うん。いいよ。 今日も別に予定ないし」 『断ってー』ってみのりの視線はまだ感じるけど、気づかない振りをしてみた。 「じゃ、そういうことでー。放課後よろしくね!」 と言って由美ちゃんは、 いつものランチメンバーに戻って行った。
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