新しい恋

5/28
3923人が本棚に入れています
本棚に追加
/293ページ
ちょっと一息ついて、みのりを見ると、 まだちょっと私を睨んでいる。 「それで、本当にいいの? よっちゃんの事は?」 上目遣いに訴える。 昨日のよっちゃんの言葉を思い出して、ズキンと心が痛んだ。 「うん。もういいの」 また、涙が出そうになった。 その様子を見て、みのりは、きょとんとした表情になる。 「実はさ。 昨日、あれからよっちゃんが、家に来たんだ」 「うそ。なんで?」 「なんかさ、 俺の家には彼女が来るから、邪魔するな的なことを言いに?」 「何それ」 みのりは眉間にしわを寄せた。 「なにそれ、でしょ? 私、自分で思ってた以上にすごくショックでさ。 ……もういいんだ。 よっちゃんも好きにやるなら、 わたしも好きにやりたい気分」 みのりは、少し黙ってから言った 「で、このタイミングで由美ちゃん……って出来すぎ」 「うん。びっくりした。 よっちゃんの事は、もう忘れろってことだよね。 ま、高田くんって、全然知らないから、どうなるかわからないけど……」 またさっきの興奮が戻ってきたのか、 みのりは、声を高くして言った。 「本当に知らないの? あの高田くんを? 1年の時からキャーキャー言われてたじゃん! でも確かに、彼女の噂は聞かないよなぁ……」 「うん。全く知らない」 「麻希は1年の時から サッカー部見てても、よっちゃんばっかり見てたからねー」 イヤミのようにみのりが言った。 「…………」 何も言い返す事は出来なかった。
/293ページ

最初のコメントを投稿しよう!