新しい恋

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放課後。 帰る準備だけしてとりあえず教室で、みのりと一緒にその高田くんを待っていた。 「麻希ちゃん、ちょっと待っててね!」 と言っていなくなったまま、由美ちゃんはまだ戻ってこない。 どれくらい経ったんだろう。 気づくと、教室に残ってる生徒も数人になっている。 由美ちゃんが、部活のジャージに着替えて、 テニスラケットを持って戻ってきた。 「あ、ごめん、麻希ちゃん、遅くなって」 由美ちゃんの後ろから教室に入ってきたのは、 背の高い、よく日焼けした、イケメンって言っていいのかな。 顔の好みは人それぞれだと思う。 確かに、見たことはあると思う。 ちょっとタレ目で、かわいい感じが、モテるんだろうな。 この人が高田くん……。 「こいつ、さっき話してた高田」 私は軽く会釈をすると、高田くんもペコンとお辞儀をした。 「で、こっちが広瀬麻希ちゃん」 と由美ちゃんが高田くんに私を紹介する。 「知ってるって」 ちょっと笑う高田くんの声は、低くてよく通る声。 少しはにかんで、頬が少し赤くなったような気がした。 当然といえば当然なんだけど、 男の人なんだなって、改めて思った。 「ってことでさ、 私、部活行かなきゃいけないから……。 悪いけど」 由美ちゃんは、テニスラケットをふる真似をする。 「まじ?もう行くのかよ」 高田くんがちょっと狼狽えるけど、 「あとは2人で、どうぞー」 と言い残して、由美ちゃんは、さっさっと教室を出て行った。 続いてみのりも言う。 「じゃ、私も行くねー」 「え。みのり、待っ……」 引き止める前に、私に向かってウインクしながら、教室を出ていく。 あっと言う間に、二人ともいなくなっちゃった。
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