新しい恋

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高田くんは自転車を取りに行き、私の横を自転車を押しながら歩く。 9月に入っても、やっぱりまだ残暑は厳しいけれど、日が沈みかけたこの時間は、 少し涼しい風が肌をくすぐる。 「広瀬さんさ、俺のこと知ってた?」 ポツリと、独り言のように聞く。 「あ、ごめん……。知らなかった」 私は横を見て高田くんを見上げるけど、前を向いた高田くんの表情はよく見えない。 「まじで?そっかぁ……」 だけど、声からショックが伝わってきて、慌ててフォローした。 「あ、でも、噂は聞いた。サッカーうまいんだってね」 「小学生のころから、サッカーばっか、やってたからな……」 「でも1年からレギュラーって、 私、スポーツって全然わからないんだけどさ、それってすごいよね?」
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