3916人が本棚に入れています
本棚に追加
/293ページ
目をこすりながらみのりも立ち上がり、松本先生の隣に立った。
「ごめんね。麻希。部屋追い出しちゃって」
寝起きのガラガラ声でみのりが言う。
「本当だよ。ひどすぎる」
口調は普通だけど、怒ってることをアピールして、腕を胸の前で組んだ。
「吉岡先生もごめんなさい」
「来週1週間、ランチおごりね」
頬を膨らませながら、みのりに言う。
「俺にも、よろしく」
と吉岡先生まで乗る。
「じゃ、二人分ってことで、松本先生、よろしく」
「おごるの俺かよ?」
みのりと松本先生は顔を合わせて笑う。
仲直りしたんだね。
今のやりとりだけを見てても、二人の仲がうまくいってることがわかる。
それだけで報われて、全部許せるような気もする。
「よかった……」
何はともあれ、仲直りできたのはよかった。
「吉岡先生も、麻希の寝顔見れてちょっとラッキーだったんじゃない?」
みのりは悪びれもせず、意味深な笑顔を先生に向ける。
「……まーな」
先生は、ちょっと顔を赤くしてポツリと言った。
みのりの視線がこっちにきて、心の中で『麻希もね』と言ってるような気がした。
みのりはやっぱり憎めないな。
私は曖昧に笑った。
最初のコメントを投稿しよう!