みのりと先生

27/27
3916人が本棚に入れています
本棚に追加
/293ページ
目をこすりながらみのりも立ち上がり、松本先生の隣に立った。 「ごめんね。麻希。部屋追い出しちゃって」 寝起きのガラガラ声でみのりが言う。 「本当だよ。ひどすぎる」 口調は普通だけど、怒ってることをアピールして、腕を胸の前で組んだ。 「吉岡先生もごめんなさい」 「来週1週間、ランチおごりね」 頬を膨らませながら、みのりに言う。 「俺にも、よろしく」 と吉岡先生まで乗る。 「じゃ、二人分ってことで、松本先生、よろしく」 「おごるの俺かよ?」 みのりと松本先生は顔を合わせて笑う。 仲直りしたんだね。 今のやりとりだけを見てても、二人の仲がうまくいってることがわかる。 それだけで報われて、全部許せるような気もする。 「よかった……」 何はともあれ、仲直りできたのはよかった。 「吉岡先生も、麻希の寝顔見れてちょっとラッキーだったんじゃない?」 みのりは悪びれもせず、意味深な笑顔を先生に向ける。 「……まーな」 先生は、ちょっと顔を赤くしてポツリと言った。 みのりの視線がこっちにきて、心の中で『麻希もね』と言ってるような気がした。 みのりはやっぱり憎めないな。 私は曖昧に笑った。
/293ページ

最初のコメントを投稿しよう!