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アルバイトを転々としながら職探しをしたが、うまくいかず、すっかり社会と隔絶してしまって、どれくらいになるであろう。
真因は、決して不況のせいなどではあるまい。
それは、私の生来の暗愚な性情に、根ざしているように思われる。
そのくせ私は、深雪がブティックのアルバイトで生計を支えている現状に、言い様のない恥辱を感じているのである。
矮小な自己を覆い隠すような、卑屈な自尊心が自分でもやりきれなかった。
すべてを忘れようと、大量の睡眠薬を酒で流し込み、倦怠感の海にたゆとうて暮らした。
深雪はそんな私を見て、叱責したり嗚咽したりしたが、私は力なく笑うだけであった。
三十二歳……
人生をやり直すに、遅過ぎる年齢でもなかったが、底なしに深まっていく無力感に、為すすべもなく沈んでいく日々が続く。
そしてまた、睡眠薬と酒……。
私は、身も心も疲弊しきっていった。
どこでどう間違って、こんなことになったのだろう。
何度も自問してみたが、最早どうにもならない無間地獄に堕ちた廃人である自分を、虚しく発見するだけだった。
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