はじまり

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「俺、行くわ」 「うん、頑張って」 「サンキュー」 昼食を終え、健吾はそう言って教室を立ち去る。 陽太も昼食を終え、弁当箱をカバンに直しながら健吾を羨ましく見つめる。 あいつやっぱりすげー。身長高い、顔は◯ャニーズ、清潔感溢れるスポーツ万能のイケメンで生徒会役員までやるなんて… 今日は先日結果が決まった「平成25年度桜風学園前期生徒会選挙」後初の議会が行われる。 今のところこんな最強の男とだけ友達だなんて、結局ひとりになると何にもできないんだよな。 たまたま席が隣だったから話しかけてくれたよかったものの… でもポジティブに考えれば、健吾はいろんなこと知ってるみたいだし何か自分が変われるかもしれない。 あと、健吾ひとりで中学生の時の友達7人分くらいの価値ありそうだし、このままでもいいかも。 いや、いくらなんでもそれはいい過ぎた。みんな、ごめんよ。 そんなことを思いながら机に顔を伏せて眠りにつこうとした。 昼休みは40分間だから授業開始まであと25分ある。よし、寝よう。 今、教室には男子がほとんどおらず、女子が大半を占めている。 このクラスの男子は弁当を持参する者が少なく、食堂で食べているか他のクラスの教室で食べている者が多い。 陽太の周りには女子たちが空いた席に座って話している。 距離は近いので女子の声がまる聞こえだが、少し離れたところにいる男子とはほとんど会話をしたことがないので寝ることしかできないのだ。 すると、陽太がうっとりと眠りにつこうとした頃に校内放送が流れた。 (1年F組の福井君、今すぐ生徒会室に来てください。) 陽太にはその放送は聞こえなかったが、空いた健吾の席に座って友達と話していた女子が、 「福井君、呼び出しだよー」 と肩を揺らしながら言う。 陽太は体に触れられたのですぐに目が覚めた。 顔を上げてその女子の方を見る。 それは桐島 遥 (きりしま はるか)だった。
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