【第6章】 -絶路-

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  -私の気持ちや都合を考えもしないで‥‥-   所詮はただの客(他人)である俺が、勝手に青山の部屋の解約を決めれば、表面上 そう感じるのは仕方ない。   ただ、仕方はないのだが、それは まるで見当違いだ。   まず、半ば強引に導いたとは言え、青山は自分で「別れる」と答えを出している。   そして、都合を‥‥と言うのなら、それこそ実家に戻った方が家賃や光熱費が必要ない分、そもそもの悩みの種であった金銭的にも余裕ができる。   なお且つ、別れを切り出しても彼氏が部屋を出て行ってくれない場合、恐らくは強く出られないであろう青山の性格までをも考慮に入れてある。   まだ完全にふっ切れていない青山が釈然としないのも理解できるが、理はむしろ俺の方にある。        
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