もう1人のお兄さん

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冬が来て雪が降りました… とても寒く外で遊ぶのも億劫になりめっきり外にも出なくなりました。 そんな冬のとある朝… 父親がまだ寝ぼけている自分を車に乗せ何処かに走り出しました。 普段、出掛ける時は兄弟だれか一緒なのに、その時は1人だけ… 少ししたら父親は車を停め ちょっと降りておいで。 と言いました。 父親の後ろをついて行くとそこには黒く焼かれた木材が散乱し、まだ少し消火の水のせいか湯気があちらこちらからあがっていました… なぁ… オマエが遊んでもらったお兄ちゃんがな、一生懸命親父と妹の面倒見てたんだよ。 お母さんが事故で亡くなって辛かったのに、お兄ちゃんは皆を助けてあげてたんだ。 オマエを怒った後にお兄ちゃんの迎えにお父さんは交番に行ってきたんだよ。 どんな人か知りたかったから。 それからしばらく会うと話をするようになって家の事情もお父さんは知ってたんだ。 オマエがいつも独りぼっちで可哀想だから遊んで面倒みてくれてたのも聞いてたから、なにか助けになりたかったんだけどな… お兄ちゃんな昨日の夜、天国に行ったんだ… お兄ちゃんは1人が苦手だったから親父と妹も一緒に天国に連れてたみたいなんだ… 辛かったんだな… オマエももうお兄ちゃんに会えないけど、お兄ちゃんがオマエ連れていけない代わりにこれ残していったから、お兄ちゃんと思って大事にしとけよ。 その時に渡されたのは安っぽい腕時計… まだ実家の部屋に飾ってあります。 お兄さんの気持ちやどういった経緯だったのか何が起こったのか分かるのはまだまだ小さすぎて先でしたが今でもお兄さんの面影はうっすら思い浮かべられます。 お兄さんほんとにありがとう。
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