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◇◇◇◇◇◇◇
薄暗い資料室の仲、手元のランプ明かりを頼りに分厚い資料を何冊も開き並べて読み込むルマンディオの横顔や髪は、灯りがあたるところは光を吸い込んで自ら発光しているように輝いているのに影の部分、特に髪は暗さを吸い込むように黒く艶めいてるようにみえる。
「…何をしらべてるんだろ?」
「家系図を辿っているようだな。」
エリオットの疑問に答えたのは一緒に着いてきたラファイエットだ。
「かけいず?」
「というか、見たところここの区画は貴族の家名が背に書かれたものばかりだからそうでしかないだろう。」
言われて見回せば、前世で言うところの図書館みたいに「あいうえお」的に順序だって探しやすくなっている。
本の装丁の色が揃っていないのは籍がある領別なのだと教えてもらった。
タランナルディ公国籍のものは濃紺だって。
「家名の下に色線があるけど、あれも意味があったりするの?」
「あぁ、あれは格上の家と縁を持ったことがあるのを指している。タランナルディ公家の系譜図の背には白金のランバート王家の色線が入っているだろう?」
「ってことは、もしかしてラファイエットは親戚ってこと?」
「もしかしなくてもそうだ。王族は公家にしか下れないからな。それだけではなく他国から姫や王子を娶ることはあっても、渡ることはない。」
「つまり、どういうこと?」
「ランバート王家はその血をやたらに広げてはいけないという戒律があるからでしかないだろ。…誰でも知っている常識だぞ?」
「えっと、…わかんない。」
「王族は持てる子供の数にも制限があることは?」
「…知らない。」
王が持てる子供の数は二人まで。
王位を継ぐ子はひとり。つまり片方は降籍する。
だが
降籍しても王に子が無いまま死んでしまった場合はもう片方の子が王位継承権を持つことになる。
よって降籍しても持てる子は二人まで。
何事もなく順調にいけば、その血筋が1/4に薄まる孫の代までの制約でありそれ以降は人数制限はない。
そんなの王様になったって同じじゃん?っておもっちゃうんだけど、王様になったらその血は100%に戻るんだって。王の子だから。
そういう風に考えて線引きしないと辿っていけば国中の貴族は全部親戚でごちゃごちゃになるからそういうなんだって。
本家(?)の名の威を借りられるのは血筋の孫までって決めないと、駄目なんだって。
って折角丁寧に説明してくれてるところラファイエットには悪いんだけど全然ピンとこない…。前世でも親戚どころかおじいちゃんおばあちゃんにすら会ったことなかったから頭では理解できても釈然としない。
「ふぅん?」
「暢気だな。お前は自分が産める子供にも産んだ子にも制限があるのは納得しているという事か。」
「うーん…僕って子供産むの?」
「なにを言っているんだ?」
「だって…男だし。」
「だからどうした。オメガなんだから産むに決まってるだろう」
「なんで?」
「は?」
「どうやって?」
「…ちょっとまて。成人しているのにそんな知識もないのか?いままでヒートはどうしていたんだ?いや抑制剤を使っていたんだろうが…それでも、」
「ヒート…あー、なんか発情期ってやつでしょ?来たことないからわかんないもん。」
「嘘だろ…」
「え、嘘じゃないよ?でも一応知ってるよ。仲良くしてくっついたら妊娠するんだよね?」
「間違ってはいない、が…そうじゃない。それだけでは子供は誕生しない。」
キョトンとする顔は、いや中身そのものがこれほど幼いとは参った。どこからどう説明すればいいのか。
落ち着くために深呼吸をしてから、言葉を選んで問いかける。
「赤ん坊はどこで育ちから生まれるのかは、知っているか?」
「お腹のなかで育つんでしょ?」
「では、どこから出てくる?」
「切って出すんでしょ。僕もそうだったってお母さんがいってたもん。」
それを恩着せがましく言っていたのは、前世の…だけど。
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