「俺の」物語は始まる。

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俺の記憶の中にある前世の記憶と、王子としてこの世に生を受けたこれまでの記憶を擦り合わせて現状を理解するに、 まずこの国の名前はランバート王国。 四方に伸びる大陸の覇王国であり、強大国家のためとにかく貴族の数が多い。 しかし大陸を制覇しているため領地拡大とかの戦争というものとは無縁な平和な国ではある、…一応は。 元々の元・隣接国は「公国」を名乗る大公家で自治権を持っているし、国としての機能はそのままに属国になったっていうのが市井レベルでは認識されている。 分かり易く言えば自己紹介が「日本人です。」から「日本県出身です。」っていう国民を名乗るのから県民を名乗ることに変わった、っていう感覚だろうか。あと名乗る国名がランバート国になりましたよ、と。 とはいえ、元々が大陸にあった五つの国を一つにしたものなので凄いことだけど世界制覇をしたわけではないのでまぁ…まだ大丈夫。途方もないということは、ない。まだ理解が追い付く。 (現世日本の感覚で言えば、そうだな…四国が一つになった、とでもおもっておこう…うん。廃藩置県だってそもそもがそういうものだったわけだし。) そこからざっと建国の流れからこれまでの歴史なんかも本で読んで理解し、いまある現状の、この国に生を受けた「偽物王子」という自分の立ち位置の基礎を固める。 いまの「俺」は、ルマンディオ・リュカ・ランバート、だ。 ランバート王国の第一王子であり、オメガバースという表面的な性別の外に第二性というものがあるこの異世界の中で、妊娠することが出来るオメガの性をもっている。 王子なのにゆくゆくは王妃になることが決まっている矛盾は、異世界だからなんだろうと納得くする。っていうか異世界だから納得するしかない。 前世の常識なんて通用しないのが異世界転生というものだ。 それに幸い(?)にも、俺は恋愛対象が男なので、まー…問題ないし? 前世だったら同性愛者とかゲイとかホモとかLGBTとか色々いわれていたものがこの異世界では「普通」なんだから、案外悪くない気もしてくる。 転生先がここでよかったんじゃないかなー、って希望がある。 、
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